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北海道登山の旅 生日記  − 現地からダイジェストをアップしています −  


北海道の名渓 クワウンナイ川を遡る

天人峡⇒クワウンナイ川遡行⇒トムラウシ山⇒化雲岳⇒天人峡

7月31日(月)〜8月2日(水)


 行程  1日目:天人峡⇒カウン沢出合
 2日目:カウン沢出合⇒天沼⇒トムラウシ山⇒南沼
 3日目:南沼⇒化雲岳⇒天人峡
 温泉  1日目:当然なし  2日目:なし  3日目:天人閣
 キャンプ場  1日目:カウン沢出合  2日目:南沼  3日目:キトウシ


今日の一枚
当麻乗越付近からの旭岳


日記


知名度抜群のクワウンナイ川。今回北海道に来るまでは、北海道の沢をほとんど知らなかったけど、さすがにこのクワウンナイ川は知っていた。この旅でいくつか沢を登る予定だが、そのトップを飾るのはやはりこの川でしょう。

コースタイム 1日目 天人峡(7:20)⇒ポンクワウンナイ川出合入渓(7:55)⇒ミニゴルジュ(8:35)⇒カウン出合(14:45)
2日目 カウン沢出合(6:10)⇒魚止の滝(6:50)⇒奥二股(7:25)⇒オーバーハングの滝(8:30)⇒二股の滝(9:00)⇒源頭(10:55〜11:30)⇒稜線登山道(12:25〜40)⇒トムラウシ山(14:50〜15:20)⇒南沼(15:40)
3日目 南沼(5:55)⇒化雲岳(8:55)⇒第一公園(11:45)⇒滝見台(13:15)⇒天人峡(13:50)


■7月31日(月)  ⇒  ⇒ 


まあまあの天気が3日続きそう。日高に行こうか、それとも・・・。ここは丸特物件であるクワウンナイ川をやっつけておくべきか。足が早くて早朝に発てば、源頭まで一日で行けるみたいだが、ここは教科書通りに二股で泊まることにし、あわよくば二股に早く着いたらその先を考えることにしよう。


★入渓  ‐‐‐ひたすら河原歩き‐‐‐

朝から雲ひとつない快晴!きのうも悪くなかっただけに、きのうから入って、クライマックスの今日を2日目に持ってきた方がよかったかも・・・。天人峡に着いてから車でアプローチの作業道探し。天人峡への県道はトンネルや橋ができていて、地図とは大きく変わっていた。元作業道に続く踏み跡をたどると、ポンクワウンナイ川の出合で自然に川に降り立つ。


入渓後しばらく出てくるミニゴルジュ
こんな流れが延々続く

クワウンナイ川の水に浸かる。意外にも冷たくない。石狩岳登山口の川は、冷たくて足さえつけていられなかったのに。1ヶ月で大きく水温も変わったか?しばらくでミニゴルジュとなる。沢登らしい一コマだ。しかし、それ以降は平野を流れる川なみの広さで二股まで続いた。延々と続くゴーロ歩きに飽き、ヌメヌメのコケが付いた滑る石に気を遣い、沢中とは思えない暑さ・・・。二股であるカウン沢出合までにぐったりと疲れてしまった。体調も悪かったかも?魚影は濃かったが、かなり小さ目か・・・?人が近づいてもあまり逃げなかった。逃げなかったのは魚だけでなくトンボも。歩きやすい石の上に止まっているので、何度も踏みそうになる。何匹かは踏んでしまっているかも・・・?

★二股(テン場)

二股には先客2名。テン場は薄暗いところだったので、さらに上流を少し偵察に行くが、これといったところはなかった。先客とご一緒させていただく。先客は群馬からのご夫婦。真ん中にあった焚き火スペースで火を囲んで、静かな宴会のあと早めに寝た。

そうそう、火傷をしたんだ・・・。焚き火をいじっていて、火が着いているのに気づかずマキを握ってしまったのだ。おかげで左手の人差し指、中指、薬指の指先を火傷。ポリタンを握りながら寝た。翌朝はぷっくり巨大な水ぶくれ。普通の沢なら断念に近いが、ここなら大丈夫だろう。



■8月1日(火)  ⇒  ⇒ 

朝起きると空は暗め。だが、雲は薄そうだ。ラーメンだけ食って、速攻スタート。40分ほどで河原歩きは終わって、いよいよここからクワウンナイの真骨頂であるナメや滝の始まりだ。カウン沢までは単なるアプローチ。釣りをする人なら楽しめるかもしれないが・・・。二股が入渓点と下山口だったら言うことなしなのに。

★滝ノ瀬十三丁

魚止めの滝は想像よりもご立派。写真を見るとわかるが、なんとなく傾いているように見える。でも、これでほぼ水平なのだ。休憩中の群馬のご夫婦よりも先に出る。左岸の明瞭な巻き道であっさりと滝上に。

魚止の滝
いよいよナメのお出まし!

第二の滝を越すと、いよいよクワウンナイ川名産のナメの始まり。どうやってこんなに平らなナメができるんだろう・・・。端から端まで均等に水が流れている。道の広い北海道、ナメまで広いか!車でも登っていけそうなくらいだ。幅も片側1車線は軽くある。ランクルなんかで試してみたくなるくらいだ。

黄金ヶ原からの沢が滝となって出合う
黄金ヶ原からの滝

延々と続く平ナメ
オーバーハングの滝

二股の滝を過ぎると滝群ナメ群は終わりで、いよいよ周囲の木も低くなって、源頭が待ち遠しくなってくる。クワウンナイ川はナメもそうだが、素晴らしそうな源頭にも期待が高かった。大きな滝はなくなったが、ここからは階段状や小滝が続き、沢登りとしては面白くなるところだ。高度を稼ぐにつれて、黄金ヶ原の台地が広がってくる。また、ただのゴーロ地帯にも右岸左岸に登山道のような踏み跡が見られるようになった。


上流にもまだこんな滝が
登って楽しい滝も出てくる


★ちなみにナメは

クワウンナイの幅広長大なナメは一見の価値がある。あの高級ホテルの絨毯のようなコケも見事。これにはなんの不満もないが、個人的には上越や北アルプスのようなナメの方が好きかな。豪雪地帯の雪に削られた岩盤と側壁。その上に生えるダケカンバなどの明るい緑の潅木。その上が青空だったらもう最高!あくまで個人的な好みですが・・・。



★源頭

クワウンナイ川源頭
クワウンナイ川の水は雪渓から始まっていた。厳密に言えばまだ上の方だが・・・。楽しみにしていた源頭・・・。あれ、ここが・・・。もっと天国のようなところだと思っていた。期待が大きすぎたかな。トムラウシ付近の縦走路となんら変わりない風景だ。あ、トムラウシ付近の風景を先に見てしまっているのが原因かも。初めてトムラウシに来た時は、日本離れした風景に酔ったもんだ。

ここで装備を解除し、靴も運動靴に履き替える。数キロ増しになった荷物がズッシリと肩に食い込む。


さて、最後の仕上げの稜線へのツメ。こちらもしっかりと踏み跡がついているので問題ない。周囲は岩がゴロゴロしており、ナキウサギの声が頻繁にこだまする。熊除け鈴をはずして歩いた。声のした方を凝視するが、なかなか見つけることができない。"ウォーリーを探せ”よりも難易度が高そうだ。


★稜線からトムラウシへ

天沼のチョイ南のコルに出た。ここで再び大休止。ここに荷物を置いてトムラウシを往復し、ヒサゴ沼に泊まるのが一般的だが、あえてザックを背負ってトムラウシを越え、南沼で泊まることにした。その方が早く今日の行動が終わって楽だし。翌日は辛くなるが・・・。

エサを食べるシマリス
相変わらずナキウサギの声にあっち向きこっち向きしながらの歩き。いた!と思ったらリスだったりした(写真)。それでも一度姿を見ることができた。以前、美瑛富士の小屋あたりでもナキウサギを見たが、その時は写真でよく見る斜め上を向いて鳴いている姿を見ることができた。今回はなんとか写真に収めたいところ。

天気のほうは西から時々ガスが上がってくるが、晴れた午後にしてはまあまあの天気に落ち着いている。トムラウシに向かう途中で群馬のご夫婦に抜かれる。群馬のご夫婦は今日はヒサゴ沼に泊まるようだ。トムラウシで記念写真を撮り合って別れた。


北沼
トムラウシ山頂からトムラウシ温泉方面


★南沼キャンプ場

以前ここを通ったときは大盛況だったが、今日は寂しいもの。それでもあとから人が来て、なんとか4張りのテントが立った。トムラウシ山頂も縦走路も人が少なかったなあ・・・。時間帯もあるのか、曜日もあるのか・・・?


全体的に彩りがないので、南沼にあった花を貼っておきます




■8月2日(水)  ⇒  ⇒ 

夜は寒くなかった。先週の裏旭では薄氷が張ったというのに、昨夜は薄手の長袖と夏用シュラフで余裕だった。先週はオホーツク高気圧、今週は太平洋高気圧。昼間の気温はそう変わらなくても、夜の気温と蒸し暑さはまったく違う。

朝日を浴びるトムラウシ山頂
左の富士山みたいなのは下ホロ

★南沼から化雲岳へ

天気はやや雲が多いもののボチボチ。トムラウシ山頂はきのう行ったのでパス。北沼への巻き道を辿ることにする。横着して巻いたものの、岩ゴロゴロのトムラウシよりも、花あり沼あり残雪ありの巻き道のほうが景色がよかったのでラッキー。もちろん山頂の眺めを堪能した後なので言えることだが・・・。

化雲岳付近の稜線
化雲岳あたりから旭岳


北沼からはきのうに続いてナキウサギ探しをしながらの縦走。今日は何度か目にすることができた。そして、カメラにも収めることができた!・・・が、如何せん映りが悪い。ナキウサギと岩が重なってしまって、輪郭がやっとわかる程度。というわけで、この場に載せれる代物ではないので、編集長に却下されてしまいました。残念・・・。途中、ガイドと思われる団体さんと2組すれ違い、個人の人たちともすれ違う。ヒサゴ沼が見下ろせるところからは、テントが数張り残っているのが見えた。さすがにヒサゴは人気だ。


★長〜い下山 ---化雲岳から天人峡---

化雲岳から天人峡へと続く10キロ以上にも及ぶ長くて広い尾根。これを全て下山と考えたら気が遠くなる。せめて第一公園までは縦走路と考えて、最後の山歩きを楽しまなければ。この下りを歩くのは3回目。1回目は台風による途中撤退で使った。遮るものがなにもない、平穏な時からは想像できない劣悪な尾根だった。休むところが全くなく、ハイマツの切り開きで休むしかなかった。この時はトムラウシで疲労凍死者が数名出ていたくらいだ。

今日はそれに比べたら天国のようなもの。盛りは終わっているが、残り物のお花畑でもまだ絵になる。高度を下げるとお花畑区間が終わって、笹の中の道になると気分は完全に下山モード。長い長い・・・。長い長い下りを終えて、やっと天人峡へ。


残り物のお花畑
ポン化雲岳手前からのトムラウシ


★クワウンナイ川は・・・


カウン沢出合から稜線までは二重丸。しかし、それを体験するために長いゴーロのアプローチと長い下山を強いられる。う〜ん、微妙だ。言えるのは、一度は絶対に行っておくべき!あのナメは一見の価値あり!です。


下山後は沢で臭くなった体を天人閣のお湯で消臭。あれ・・・、前来た時よりもしょぼくなってるような・・・。値段も上がってるし。まあ、そんなことはどうでもいい、まずは消臭消臭!さっぱりしたところで、定住化しつつかる東川町のキトウシのキャンプ場へ。遅くなったときなんかは勝手がわかっているので慣れたキャンプ場は好都合なのだ。キトウシはテレビも映るし、ネットもつながる便利なキャンプ場なのです。


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