七ノ沢出合は広い河原となっている
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七ノ沢出合で沢装備に。すれ違う人たちの足回りを見ていると多種多様。しっかり登山靴の人、地下足袋の人、スニーカーの人、沢靴の人・・・。どれが一番有効なのだろう・・・。僕たちは沢靴1丁で臨むことにした。泥と草には弱いが、あとは普通に歩けるし。
広い河原を八ノ沢出合目指して遡る。何度か渡渉はあるものの、深くて膝程度。強い日差しを浴びて火照った体にはかえってありがたい。クワウンナイ川が黒っぽかったのに対して、札内川は明るく、水もきれいに見える。歩いていて気持ちがよい。
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ルートを示す赤テープが各所にあった。その通りに行けば渡渉が少なくて済むようになっているのだろう。僕たちはテープは無視して川の流れの通りに進んだ。ゆっくり歩いたが、コースタイムを大幅短縮で八ノ沢出合へ。
八ノ沢出合には小さなテントが4張りほど。カムエクアタック中のようで、どれも留守みたいだ。ここより上で泊まる人はもっと早く出てるだろうし、ここで泊まる人は逆にゆっくり出てくるだろう。少し遅れて札幌からの2人組が到着。その後も数名来たが、みなさんもっと上を目指すようだ。うちらもカールまで行く時間は十分あったが、八ノ沢のテン場はなかなかロケーション良好!焚き火もし放題。ここでマッタリするほうが得策だ。・・・とマッタリしていたのだが、3時頃になって突然の夕立。夕立は突然くるのが普通だが、雷とともに大粒の雨。テントに避難する羽目になってしまった。
すぐやむだろうと思っていた夕立だが、しっかり2時間近く降った。川の水は少し増え、かなり濁ってしまった。先に水を取っておけばよかったな。焚き火を着けなおし、遅い夕食をとる。夕立の間昼寝してしまったので、夜は寝れなかった。山の中なのに蒸し暑かったし。
■8月14日(月)
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夜は途中から狭い谷に月明かりが差してきて、テントの中もライトがいらないほど。夜は寝付けず、寝たと思ったら深夜にしょんべん。けっこうな寝不足状態。それでも目が覚めてしまえば関係ない。狭い谷からは青空しか見当たらない。今日もいい天気だ!
八ノ沢がカーブをするとカムエクが
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例年よりも残雪はかなり多いようだ
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出発準備をしていると、上から2人降りてきた。きのうの夕立で下山できず、途中でビバークしていたようだ。かなりの年配だったので、不安だっただろうなあ・・・。札幌のお二人から遅れること30分でテン場を出発。今日もルートを示す赤テープは無視して、沢通しに進んでいく。右カーブが終わるあたりで、前方に八ノ沢カールとその右にカムエク本体が見えてきた。完璧な青空だ。山頂に着くまでそのままでいてくれよ。
沢通しに進むも、大きな雪渓に阻まれる。右の泥壁から取り付き、いやらしいトラバースをして雪渓に乗る。札幌2人組を前方に確認。出口も心配したが、難なく降りることができた。この雪渓の下は最高のテン場になっているとのこと。
三股付近の雪渓より
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三段の滝
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三股にも大きな雪渓が残っていて、こちらの方が状態は悪かった。ただ取り付きも下降点もこちらの方が楽。雪渓途中で札幌2人組をパス。この雪渓は滝場の始まりまで続いており、一番下の滝「三段の滝」はシュルンドに吸い込まれていた。中を覗き込むが、恐ろしそうな世界なので寒気がする。
この滝場、テクテク登れそうな感じだったら沢通しに行くつもりであったが、そういうわけにはいかなそう。迷わず巻き道を選択。はじめからその気で、道具がそろっていれば、滝を登っていくのが楽しそうだ。ダメなら巻けばいいことだし。
滝場が終わると傾斜が緩む
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八ノ沢カール
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滝場の横に付いているだけあって、この巻き道の傾斜は尋常ではない。ルンゼで落石したらえらいことになりそうだ。太ももへの負担もかなりのもの。ただ、赤テープと踏み跡はビシバシあるので、迷う心配はない。
本流から離れ気味だった巻き道が、再び本流に出合ってからは沢全体の傾斜が緩む。ここからまた水線通しに進んでいく。両岸はでかいスラブとなっていて、そこからナメ滝となって水が落ちてきている。進む沢はゴーロだが、両側ダケカンバなどの潅木で、岩も明るく、まるで谷川周辺の沢のような爽快感がある。
沢の傾斜が徐々に緩んでいくと、念願の八ノ沢カールに飛び出る。そんなにこのカールに期待はしていなかったが、まあ想像の範囲内といったところか。北アルプスのカールを何度となく見ていると、どうしても貧相なカールに見えてしまう。北アルプスのと比較すること自体が愚かなことなのかもしれない。2000mに満たない山に、これだけの規模のカールがあるということがすごいことなのに・・・。
コルからのカムエク
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ピラミッド峰
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カール内にはそこそこ快適そうなテン場と、雪渓から流れてくる細い水流があった。ここで朝を迎えるのは確かに気分はいいだろう。朝早くアタックできるので、晴れる確率も高いだろう。今のところは快晴だ。福岡大学ワンゲルの熊遭難の痛々しい碑の横を通り、まずはピラミッド峰との鞍部を目指す。
カールから上は熊の気配がとっても濃い領域。生々しいデカイ糞が2ヶ所撒き散らかしてあり、お花畑のいたるところに掘り返しがあった。恐らく毎日のように出没はしているのだろう。これまでも漠然とした警戒心は持っていたが、これらを目の当たりにするといやでも熊を実感させられる。早朝や夕暮れ時は通りたくないなあ。前にも後ろにも人がいる今は安心なのだが・・・。
カムエク山頂より 北の方
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コルに出るあたりから雲が多くなってきた。せっかくコルに出て反対側の景色が見れるというのに・・・。西の方から雲が進んできているようだ。頂上への道のりが半分くらいになった頃、とうとうカムエク山頂にも雲がかかり始めてしまった。やれやれ・・・あと30分早く出ていたらよかったな。
まだ今のところは山頂の雲はかかったり取れたりの繰り返し。早く登るべし。とはいうものの、コルから山頂までの道のりはきつかった。 |
山頂からは近くの山がなんとか見える程度。北はエサオマンまで、南はヤオロマップまで。1839峰のてっぺんに雲がかかっているのはわかった。ペテガリ岳までは見えてなかったようだ。カムエクの山頂で日高はやっと3座目。4年前の幌尻はまったくのガス。7月はじめに登った十勝幌尻岳もガスでほとんど見えず。今回のカムエクが一番マシだが、この程度。日高にはツキがないのか、日高は天気が悪いもんなのか・・・。
熊の糞
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こちらはかなり新しかった
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40分ほどで山頂を後にする。天気が良ければピラミッド峰も考えていたが、これでは登る価値がないかな。また、昨日のような夕立も心配なので、まっすぐに下山することにした。カールへの下りは泥なので、沢靴はツルツルだ。下りは三股付近の雪渓までは巻き道を利用。上部の巻き道は普通の登山道並みにスタスタと歩ける。沢が平坦になってまた沢通しにルートを取るが、八ノ沢出合までは長かったなあ・・・。
出合のテントが増えていた。単独2名、2人組、あとでツアーの5名もやってきた。焚き火をしているのはウチらだけ。沢をやらないと焚き火の習慣はないだろうな。昨日とは逆に夕方になって晴れてきた。古い予報では明日が一番晴れるみたいなので、明日登る人はいいだろうなあ・・・。今日はビールが1本しかない。日本酒は500mlの半分残っているが、暗くなるまではもちそうもなし。コーヒーを絡めながら間を持たせていた。
札幌2人組がまだ下山してこないのが気にかかる。かなりのベテラン風だったので、無用な心配とも思ったが、さすがに5時を回ると気になってしまう。結局は6時前に到着。膝が痛くなって、カールで2時間寝ていたとのこと。きのう寝不足だった分、今晩はぐっすり寝れることだろう。
■8月15日(火)
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目が覚めて空を見ると意外にも曇っていた。てっきりスカッと晴れていると思っていたのに。今日は下山のみなので朝の支度はゆっくり。焚き火に火をつけて、残っている薪を燃やしていた。すでに下から登ってきた人が・・・。あとでわかったが、ゲートからの日帰りカムエクらしい。元気あるなあ・・・。
今日カムエクアタックの人を見送り、今日下山の札幌2人組に見送られ、下山の途についた。河原1時間半、林道1時間半、休憩こみで3時間半ってもんか。道中ずっと曇りで、暑くなくて助かった。低い雲なので、山頂はどうだったかな?
★またまた忠類へ
まずは風呂風呂!日高山麓には温泉がない。一番近い温泉は更別村の福祉の里という温泉。11時過ぎに入ったが、一般客は午後からだった。名前からしていやな予感はしていたが・・・。結局は定番の忠類ナウマン温泉に入ることになった。ここの休憩室はエアコンが程よく効いていて極楽。12時に入って2時過ぎまで居座っていた。
お盆の最終日にあたる15日。キャンプ場は一時の混みようから比べると、少し落ち着きを取り戻していた。それでも乗車率100%レベルの混み具合。駐車場に車を付けれたのは幸い。普通のキャンプライフが過ごせそうだ。とりあえず腹減ったのでコンビニで惣菜を買いあさる。そしてビールを飲みながらゆっくりしていた。惣菜は腹にたまる。夕飯はパスということになってしまった。