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北海道登山の旅 生日記  − 現地からダイジェストをアップしています −  


ユウトムラウシ川からの川旅でトムラウシ山へ

8月25日(金)〜28日(月)

 行程  1日目:トムラウシ温泉⇒テン場(1050m付近)
 2日目:テン場⇒源頭
 3日目:源頭⇒南沼(トムラウシ山、北沼付近周遊)
 4日目:南沼⇒トムラウシ温泉
 温泉  トムラウシ温泉 東大雪荘
 キャンプ場  上士幌町 航空公園キャンプ場


今日の一枚
もうすぐユウトムラウシ花園


日記


今回の北海道では3つの川からトムラウシ山を目指す計画。1つ目の北海道の名渓クワウンナイ川はすでにやっつけており、そしてユウトムラウシ川をやっつける番がきた。ユウトムラウシ川には東京のトマの風御一行様という強力な助っ人付。トマのN村君からお誘いがあり、便乗させてもらうことになったのだ。

山中4日間とも天気にはかなり恵まれ、またトマの風御一行様のお力添えで、気持ちの良い川旅ができた。前半は増水気味の渡渉を楽しみ、上流では北アルプスを思わせるような明るい渓相。そしてツメはユウトムラウシ花園という最高のロケーション。沢を離れたあともトムラウシ山周辺の日本離れした景色を味わい、まさに盛りだくさんの沢登りであった。総合的にみたらクワウンナイ川よりもユウトムラウシ川の方がよかったなあ・・・(個人的には)。もっともっと登られてもよさそうな川なのだが・・・。

メンバー S口さん、N村家2名、G藤改めT柳、たつの×2  総勢6名
コースタイム 1日目 トムラウシ温泉駐車場(6:20)⇒1050m付近テン場(13:45)
2日目 テン場9:55)⇒大滝(9:15〜10:40)⇒二俣(12:40)⇒源頭(14:50)
3日目 テン場(6:20)⇒登山道(7:50)⇒南沼(10:40)  11:50〜14:55 トムラウシ山から北沼方面散策
4日目 テン場(5:50)⇒カムイ天上(8:50)⇒短縮コース分岐(9:35)⇒トムラウシ温泉(10:45)


前夜は約2ヶ月ぶりの布団で極楽快眠!微量残った夕べの酒も加わって目覚めは相当悪い。しかし、外に出てスカッとした青空を見たら、とたんに頭がシャキッとするのであった。きのうまでの一連の雨降りにキリがつき、北海道は秋の空気に入れ替わった。これまでの湿っぽさは全くなくなり、乾いたキリッとした空気に包まれていた。2,3日は安定した晴天が続くとのことで、ユウトムラウシ川はいただきだ!

■8月25日(金)  ⇒  ⇒ 


朝6時頃にトムラウシ温泉に着く。水量は昨日よりも若干減った感じだ。多少は苦労もあるかもしれないが問題ないでしょう。入渓は短縮コースへ向かう橋のたもとから。水は冷たく感じないが、圧力はかなり感じられる。どこでも渡渉というわけにはいかないな。

入渓点付近のユウトムラウシ川
ヤブ中心で進むS口さんだが、虫嫌いのT世さんはヤブが大の苦手。多少遅くはなるが、水流沿いに進んでいった。S口さんはいつの間にやら林道に上がっていた。たつの家は相変わらず川沿いを進み、N村家も川に入ったり林道に登ったり。みな好き好きに歩いていて、そのうちバラバラになってしまった。スミマセン・・・

再合流したあとは、これではいかんということで、まとまって歩くのだった。

ユウトムラウシ川は蛇行を繰り返して流れている。河原はあんまり発達してなく、時々削り取られたような土色の側壁となっている。そんなわけで、あっち行ったりこっち行ったり(いわゆる渡渉)する場面が必然的に多くなる。水量は減ったとはいえ、平水の2倍(はおおげさか・・・?)くらいはありそう。渡渉中にひっくり返ったとしても、身の危険が感じられるほどではないにしろ、濡れネズミとなり、笑いのネタとなってしまう。それでも2,3ヶ所ぐらい気合のいる渡渉があったかな。大雨の影響で新しい倒木も目立った。この方がかえって厄介だった。

こんな感じの側壁がけっこうあった

何度となく渡渉を繰り返し進む

のんびり歩き、休憩も多めに取りながらの遡行。谷の中までしっかり日差しがあるので、休憩していても寒くはならない。やっぱり沢は晴れの日が一番!今日はあまり上流まで行くと泊まり場がなくなってしまいそうなので、沢が傾斜を増す前に行動を終える予定。しかし、これまでのところ、テン場にうってつけのスペースというのが見当たらない。雨の心配がないので砂の台地なんかがあったら最高なんだが・・・。

快適なテン場にて
予定ではもう少し上流まで行くはずだったが、1050m付近に快適なテン場発見!迷わずここに決定。川に近い台地で、ちょうど2張り張れるスペースがある。翌日先に進んでも良い場所はなかったので、結果的に最高のテン場だったことになる。草むらの中に泊まらなければいけないかと心配していたT世さんだが、いいところがあってかなりホッとしていた様子だった。

薪は豊富!しかし、火の着きはイマイチ・・・。今日の晴天で表面は乾いているものの、ずっと雨だったせいか中は水分がしっかりしみていた。

夕方まではみんな好き好きに過ごし、そのあとはお決まりの焚き火を囲んでの宴会。3泊4日ということでビールは少なめにしておいたのだが、もうちょっと担いでくるべきだった・・・。明日以降の酒に手を出しそうになる気持ちにムチを入れ、なんとかかんとか今日の割り当て分で抑えたのであった。



■8月26日(土)  ⇒  ⇒ 

1000mそこそこの標高ということで、夜はまだそれほど強い冷え込みというほどではなかった。朝4時起床。今日も文句なしの晴れ!朝メシのラーメン食って出発だ。一日経って、きのうより少しだけ水量が減ったような気がする。

今朝も渡渉の連続
今日も渡渉の連続から始まる。水は減ったとはいえ、いやらし目の渡渉もチラホラ。水は減っても、そのぶん川幅も狭くなるので、水圧はそう変わらないのだ。

ツリガネ山を左上に見ながら進む。日がだんだんと高くなり、両岸の植物はだんだんと低くなって、沢が明るくなってくる。これからがユウトムラウシ川の真骨頂だ。

このまま順調に遡行が続けば、余裕で予定の南沼に着くなと思っていたら、前方に滝が・・・。小滝とは間違っても言えない立派な滝だ。ユウトムラウシ川は大きな滝は皆無と思っていたので、キツネにつままれたような感じだ。一瞬どこかでルートを間違えたかと思えたくらい。


ないと思っていた大き目の滝が・・・

左の滝の2段目は約5m

この滝は立派な滝で、下段が約10m、上段が5mの2段構え。垂直とまではいかないが、しっかりと立っている。まさかこんな滝が出てくるとは思ってなかったので、心の準備はできていない。さてと・・・・・・どうしましょうリーダー。巻きは良くはないが、難しいこともなさそう。直登も簡単ではないが、難しくはなさそう。

大滝(?)を登り終えて T柳&T世
せっかくなので登ろうということになる。で、誰が・・・?しばしの沈黙の後、「たつのさん登ってみる?」とリーダーが口を開く。登れそうだったし、ダメでも下りてこれそうだったので、「では・・・」という感じで引き受けた。

引き受けたものの、ザイルを触るのは今年初めて。昨年の秋以来になるのか・・・。登る心配よりも、ザイルの扱いの心配の方が大きかったかな。期待と不安とスリル満点だ。

念のためザックは置いて空身で登る。中段までは右からサクサク登り、核心に見えたトラバースの前にハーケン1本。トラバースは楽勝で、最後の滝上への這い上がりが少しやらしかった。上段は登らずに、ピッチを切る。上段はリーダーが先に登り、お助けを垂らしてくれた。この滝で結局1時間半近く費やす。長いお遊びとなった。

またまた滝が出てきた 

左の滝の巻きの途中より

このあとも数メートルの滝がチラホラ出てくる。2つ目の5mクラスの滝は登れずに、右から巻く。ちょっと大きく巻きすぎたかな・・・?これ以降の滝は快適に直登。ユウトムラウシ川をなめて臨んだわけではないが、滝が出てきてワクワクさせられた。


時々小滝が現れる
ツリガネ山がだんだんと低くなってきた

さて、1300m付近にある二股。左に進んで三川台に詰め上がる予定だが、二股に立つと右股からの誘惑が・・・。左股が少々ヤブっぽいのに対して、右股はスッキリとしていて小滝が連続している。また、右股を詰めていくと南沼へと突き上げ、時間短縮にもなる。大きな誘惑だったが、ここはリーダー初志貫徹。予定通りに三川台方面へと向かうことにした。


両岸は潅木となり明るくなってくる

このあたりとっても気持ちが良い

ヤブっぽく見えた渓相はしばらくで終わり、どんどん谷が開けてくる。潅木もまばらとなり、代わってお花畑が幅を利かせてきた。それに比例して気分の方もウキウキ度が高まっていく。右股がどんな風かわからないが、とりあえずはこっちに来て正解だったかな。

超快適遡行!
これを登り切るとユウトムラウシ花園


あとは時間だ・・・。大滝で時間を食い、そのあとも意外とはかどらない。こりゃあ南沼は無理臭いな。源頭が近づいてきているのに、相変わらずしっかりと水は流れている。上の雪渓までずっと続いているんだろうな。ユウトムラウシ花園に飛び出す。三川台から落ちるカール壁と、その下に広がるほぼまっ平なユウトムラウシ花園。そして、その中を悠々と流れるユウトムラウシ川。流れのないところもあり、トロ場のようになっていた。残念ながら花は盛りをとっくに終えていて、わずかにリンドウなどの秋の花が咲いているのみであった。


空の青と草の緑が気持ちよい

ユウトムラウシ花園はほぼ平ら


今日のテン場はマキがないので焚き火はできない。その代わりにロケーションは最高級ディナー並み。標高もかなり上がったので、日がかげるととたんに寒くなる。夕食まで外で食って、それ以降はトマさんテントにお邪魔して宴会となった。夜は冷え込み、夏用の寝袋もそろそろお払い箱の時期かなあ・・・。




■8月27日(日)  ⇒  ⇒ 


朝は薄氷が張っていた(らしい)。そりゃ〜寒いわけだ。寝袋から出る時にはコンロでテント内を温めた。今日も朝飯はインスタントラーメン。明日も同じく・・・。インスタントラーメンはかさばるが、早くて楽で食べやすい。たつの家の山の朝食はインスタントラーメンにすることが多いのだ。

二つ池を進む

雪渓下部を目指し鹿道をたどる

川だか池だかわからないような水の中を稜線目指す。時々ヤブに阻まれて、鹿道を追ったりした。二つ池は中をジャブジャブ。早朝の寒さの中、膝上まで浸かったので、足がビリビリとしびれてきた。雪渓下から縦走路まではわけなく達した。


ユウトムラウシ花園を見下ろすと感慨深い

縦走路中にあった池  遠くの山は十勝岳

縦走路からは頭に雲をかぶった十勝連峰、薄くて見えるか見えないか程度で日高山脈が、西には芦別岳も見えていた。急坂を登ると三川台。見慣れた(とまではいかないが)大雪山の山並みが飛び込んでくる。今日は昨日までに比べると、雲の出が早いみたいだ。トムラウシ方面はちょっと雲がかかり加減だった。

黄金ヶ原の花も当然終わっており、代わりに草が枯れ始めていて、まさに黄金ヶ原という感じ。もっと秋が深まると、さらに黄金色になるんだろうな。そんな頃にまた来てみたい。登ってきたユウトムラウシ川を見下ろしながら、また黄金色の黄金ヶ原を眺めながら、南沼まで歩いた。

三川台と黄金が原

左の続き

南沼に着いて、このまま下山する手もあったが、東京から来ているのにそれではもったいない。明日の天気も悪くなさそうだし。とりあえず南沼にテントを張り、お昼ごろになって行動開始。まずは26日ぶりにトムラウシ山頂に立つ。そのあとは北沼方面に下って、ナキウサギの声を聴きながら、帰りは巻き道で南沼に戻る。

トムラウシ、北沼散歩中は晴れていたが、テン場に戻ると曇りがちに。夕食後は南沼はガスに巻かれてしまった。テントで少々読書などしたあと、トマさんテントへ。明日は早いので宴会は控えめにして、マイテントに戻った。雲が多いせいか、寝る時点では昨日ほどの冷え込みは感じない。



■8月27日(日)  ⇒  ⇒ 


トマさん御一行様は今日の夕方の飛行機に乗ることになっている。なので早出。車の持ち主であり、リーダーであるS口さんが一人で先に出発し、温泉まで下りて車を回収。そして、みんなを短縮コースの登山口で待つという時間優先プラン。暗いうちに出発していったトマさん御一行を見送り、北海道の旅が続くたつの家はゆっくりの朝。いつものように6時頃の出発だった。長くない登山人生だが、朝ランプを点けて出たことなんてあったかなあ・・・。


トムラウシ公園と雲海に浮かぶ十勝連峰

南側からのトムラウシ山

今日はこれまでの3日に比べると、かなり雲が多くなっている。とはいうものの、上空の薄い雲で、景色には関係ない。逆に平地が雲海の下に沈んでいる。その雲海に浮かぶ十勝連峰が島のように見えた。

今日は下山のみなのだが、トムラウシ温泉までは6時間近いコースタイム。いきなり気持ちが下山モードになると辛いものがある。前半は景勝地が続くので、しっかり楽しみながら下ろう。初めてのコースというのは新鮮でいい。トムラウシ公園はとっても雰囲気のいいところ。花は終わり、紅葉にはまだ早いこの時期だったのが残念。このあと前トム平、コマドリ沢源頭・・・と景色を楽しみながらゆっくり下った。

トムラウシ温泉は雲海の底

コマドリ沢へと滑り込むスキーは楽しそう

展望があるのはカムイ天上まで。その後は深い森へと入っていく。短縮コース手前で、1時間半くらい前に出て行ったトマさん後発3人組に追いついた。分岐からは2度の軽い登り返しを含む平坦部が多く、なかなか高度を下げない。煮え切らない下りだったが、最後に一気下りで温泉へ。終わった・・・。

車に着いたのも束の間、バッテリーが・・・。ウインカーは着いたが、セルを回すだけの電気は残ってなかった。見ると、インバーターの電源が入りっぱなし。いつも気を付けていたのだが、こんな3泊4日の山の時に限って切り忘れるなんて・・・。入浴中のS口さんを待って、ケーブルをつないでエンジンをかけた。おかげで皆さんと一緒に風呂に入れなかった。ご一行を見送り、汚れたものは温泉の靴洗い場で洗い、そのあとゆっくり温泉に浸かる。4日間風呂に入ってなかったわりに、不快感はなかったなあ・・・。



さあ、今日は航空公園に泊まるしかないかな。上士幌町に向かった。キャンプ場で干し物をしたりして時間をつぶし、夕方になって最近定番化しつつあるローソンのうどんを食いに行った。ローソン店内で食べるうどんは、かけうどん210円ととってもリーズナブル。味もまずまずなので、手っ取り早くてお得なのだ。うどん屋付ローソンがまだ少ないのが残念なところだが・・・。

周囲の山々はすでに厚い雲に覆われていて、雨が降っている模様。それにしても今回のユウトムラウシ、うまいこと晴れの4日間に収まったもんだ。夜には雨が降り、その後も数日間ぐずつく予報が出ていた。

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