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北海道登山の旅 生日記  − 現地からダイジェストをアップしています −  


エサオマントッタベツ岳

9月2日(土)〜3日(日)

 行程  1日目:戸蔦別林道6号堰堤⇒エサオマントッタベツ川⇒北東カール
 2日目:北東カール⇒エサオマントッタベツ岳往復⇒6号堰堤
 温泉  芽室町 新嵐山荘
 キャンプ場  上士幌町 航空公園


今日の一枚
ジャンクションピークからのエサオマントッタベツ岳と幌尻岳


日記


エサオマントッタベツ岳・・・。なんでこの山に登る気になったか・・・?百名山でも二百名山でもない、しかも登山道もない。それは、簡単な沢登りで登れそうな山を探していたところ、このエサオマントッタベツ岳に出くわした。まったく変な名前の山だ・・・が第一第一印象。登山道がないわりに登られている山ということがわかり、沢ルートの途中には標高差100m、長さ300mのきれいなナメ滝もあるという。ナメ滝が終わるとカールに飛び出すというのも魅力。日高山脈では戸蔦別岳も、ペテガリ岳も、神威岳も、楽古岳も登ってないのに、そんな理由でエサオマンに登ることになったのだった。

コースタイム 1日目 6号堰堤ゲート(7:25)⇒入渓(8:25〜35)⇒997二俣(9:40〜50)⇒1245m(12:05)⇒北東カールテン場(13:00)
2日目 テン場(5:35)⇒ジャンクションピーク(6:35)⇒エサオマントッタベツ岳(7:10〜35)⇒テン場(8:40〜9:10)⇒1245m(9:35)⇒997二俣(12:00)⇒6号堰堤(13:40)


戸蔦別ヒュッテには負けるが、戸蔦別川沿いにあるポロシリ自然公園キャンプ場は、戸蔦別川沿いの山に登るには打ってつけのキャンプ場。それでも戸蔦別林道は長い・・・。終点は6号堰堤だ。まだ先にも行けそうだが、どっちみちすぐにエサオマントッタベツ川なので、車はここに置いていく。先客は札幌と帯広ナンバーの3台。あとで1台来たので、うちらを含めて計5台ということになる。

■9月2日(土)  ⇒  ⇒ 


林道を20分ほど歩くと、エサオマントッタベツ川出合い。さらに30分ほどで林道跡の踏み跡が終わって、川へと入っていく。笹の覆いかぶさる踏み跡を歩いている時は札内岳が見え、沢に入るとエサオマンとその北東カールが遠望できた。土日とも全道的に晴れとのことなので楽しみだ。エサオマントッタベツ川の下流は水がきれいで、時々ナメ床が現れ、なかなかの渓相である。

二俣まではナメ床があったりして爽快!

多段のナメ床も

997mの二俣を右に取ると、傾斜が少しずつ増してくる。ただ、ここからはしばらく荒れた感じの沢となり、単調なゴーロ歩きに明け暮れる。北広島からの6人組を抜いた。カムエクのように巻き道もあるようだが、かえって面倒なので、全て沢通しに行く。その方が気持ち良いし、色々考えなくて済む。1245m地点からは扇状に沢が広がり、そこから滝場がスタートする。右岸には風前の灯の雪渓が残っていた。

最初の滝である2段の滝
2段の滝上段を登るT世さん


まずは2段の滝。巻き道は右側にあったが、登れそうか偵察に行く。下段は階段状で快適に登れるが、上段は取り付きがややいやらしかった。上部は手足ともに十分だが、荷が重いので慎重に登らざるを得なかった。滝上に立って下を見たら、いつの間に追い抜いたのやら、3人組が滝の下に立っていた。次の滝も簡単に登れる。そのあとは快適なナメ滝歩きとなる。右に左に登り易そうなところを選びながら高度を稼ぐ。ナメが終わると再びゴーロとなるが、それはしばらくで、ヒョッコリと北東カールに飛び出した。あっけない・・・。

カムエクの滝場は本流からかなり離れたところに巻き道があり、滝場の全貌を見ることができない。その点このエサオマンは本流沿いに巻き道がついているようで、登れれば直登、登れなければ巻き道を選択することができるので、ルート的にも面白い。全て直登できたのも、この点が大きいかな。


長さ300m、標高差100mのナメ滝
ナメ滝登りは疲れを忘れる

北東カールに出るとテントはおろか、誰もいない。意外だった・・・。前にもう1パーティはいると思っていたし、縦走組みが張っているかもとも思っていた。カールはカムエクの八ノ沢カールよりもこじんまりとしている。カムエクでも書いたが、北アルプスのような巨大なカールと比べると、かなり見劣りはする。でも、これはこれで箱庭のようで雰囲気がある。あと、緑が多いのも日高のカールの特徴か・・・?まだ少ししか見てないから、いい加減なことは言えないが・・・。

幸運にも一等賞だったので、一番平らに整地されているサイトをゲット!その後続々後続が到着。後になるほど荒れたテン場となり、最後の4人組は、新たに土木工事を施してのテント設営だった。カールの一段上やちょっと横の方は、熊の掘り返しが多数あり、改めて日高の熊の多さを実感。

エサオマンの北東カール
今日のテン場は大盛況!


北東カールだけに、この時間太陽は南西から差す。したがってモロ逆行だ。せっかくの絶景がもったいない。明日の朝に期待だな。登ってくる途中もそう。ナメはかなり良かったが、逆行なので写真の映り栄えはイマイチ。それが今日一番の残念なところかな。これだけ晴れているのだから、文句を言ったらバチがあたってしまいそう・・・。太陽が沈む頃にはガスが出始めてきた。

夕食時は隣の北広島6人組の輪に加えさせてもらった。北海道の山の話をたくさん聞けて有意義だった。つまみなんかも頂いたりなんかして・・・。9月ともなると、日が傾くとさすがに寒くなり、まだ明るいうちにテントに入った。




■8月15日(火)  ⇒  ⇒ 


朝起きると十勝側は晴れていたが、真上の空はちょっと変なうす雲が出ていた。晴れているわりに朝方は寒くないし、露もまったく降りていない。南風でも入ってきているのか、なんかいやな予感がした。

カールから稜線に至るルートが、このエサオマンの核心部。登るルートはたくさんあり、どれでも登れるらしいが、難易度がピンキリとのこと。概して左のルートほど傾斜が緩くて安全らしい。まず4人組が明るくなると同時に出陣。左から2番目のルートへ。次の6人組は一番左のルート、3人組も左のルートを取った。さて、うちらはどうしよう・・・。左が楽だとはいえ、2番目もそう悪くはなさそう。先行者の落石も怖いので、2番目のルートを登ることにした。

稜線手前からのピラミダルなエサオマン
JPからの展望  中央左がカムエク


やはり一番左が一番楽なルートだったか・・・?2番目のルートはずっとガレルンゼを登り、直下まではスイスイ登れたが、最上部が不安定なガレとなり、これは下りは無理と思いヤブに逃げた。途中の細かいホールドの部分も下りは厳しそうだったし・・・。ヤブが長いなあ・・・と思っていたら、ジャンクションピークの山頂に飛び出した。損した・・・。稜線に向けて登っている途中から、ポツリポツリと雨が降り出してきた。

エサオマン山頂へはひと登り
エサオマンからJPと北東カール


ジャンクションピークに到着。山の西側には湿った怪しい雲が・・・。しかし展望には影響なく、日高の山並みがクッキリと見える。日高の稜線に立つのは4度目だが、初めて遠くまで山並みを見ることができた。う〜ん、独特だ。稜線は細くて谷が急峻なところは中央アルプスに似ているが、日高には岩稜はなく、稜線まで緑が続いている。稜線はハイマツになっていて、これが日高の縦走を難しくさせているのだろう。

南には先日登ったカムエクが、北には4年前に登った幌尻岳が大きい。戸蔦別岳からピパイロ岳にかけての稜線がひときわ美しい。あそこを歩くと、さぞ気持ちが良いだろうなと思った。尾根のピストンでもいいから考えてみるか・・・。

北カールと幌尻岳
ひと登りでエサオマンの山頂へ。3人組と6人組は北カールが見下ろせるところまで行っていた。北カールは熊が多く生息するところらしい。多い時には5頭もの熊を同時に見ることができるみたいだ。うちらも行ってみたが、熊はいなかった。身の危険を感じない距離で、一度見てみたいものだが・・・。北カールは北東カールよりも完成度が高そうだ。そうこうしているうちに本降りになってきた。風も強い。おまけに雷らしきものも鳴り出した。撤退だ!


下りのルートは一番右側のルートから。こちらには踏み跡バッチリで、安全に下ることができた。赤テープもあるので、登りの際に取り付きさえ間違わなければ大丈夫。あとカールにある二つの窓のうち、左側も割合安全に登下降できそうだ。

テン場に戻ると雨はやみ、空は多少明るくなってきた。ちょうど悪い時に稜線にいたもんだ。でもまあ、雨が上がってくれてありがたい。とくにテント撤収時は。下りにくいかと思っていたナメ地帯と滝場だが、ややこしいところは巻き道を使ったりして、サクサクと下ることができた。あとはつまらない河原歩きが長かった。

■航空公園へ


林道を戻り、自転車回収のためにポロシリ自然公園に立ち寄る。ここのおねえさんも自転車に乗るようで、また山にも登るようで、話が弾んだ。温泉は芽室町の新嵐山荘。ここはシャンプー、石鹸完備できれいなのに、260円と格安。

明日も天気が良さそう。噴火のあと、しばらく登山規制が続いていたが、9月1日から解禁となった雌阿寒岳にでも登ろうか・・・。中間くらいに位置する、上士幌町の航空公園キャンプ場まで動いておこう。

下山後の定番となりつつある、ローソンのうどん。今日も上士幌町のローソンで「かき揚げうどん大盛り」を食った。かなりの量なのに380円くらいと、新嵐山荘に匹敵する格安ぶり。うどん屋付のローソンがもっとたくさんあればいいのだが・・・。

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